クロムハーツと言えば、キングオブシルバーの異名を持つシルバーブランドである。
アクセサリーに興味がない人でも、一度くらいはクロムハーツという名前を聞いた事があるのではないだろうか。数あるシルバーブランドの中でも、ヒエラルキーの頂点に君臨し、その愛用者は芸能界などにも実に多い。
今日はそんなクロムハーツについて書いていきたいと思う。どんなブランドなのか、そしてなぜ高価なのに人気があるのか。
その辺りに関して、私なりにメスを入れていこうと思う次第だ。
クロムハーツとはどんなブランドなのか?
まずはクロムハーツの歴史から簡単に話そうと思う。
クロムハーツは1988年10月に、「リチャードスターク」、「ジョンバウマン」、「レナードカムホート」の3名らによって設立されたブランドだ。今でこそクロムハーツはシルバーアクセの代名詞だが、当初はシルバーよりも、バイカー向けのレザーウエアの製作がメインだったようである。どちらかと言うとシルバー製品は、そのレザーウエアに使用するボタンやファスナーに使用するために生産していたようだ。
ところが、そのボタンやファスナーなどのシルバー製品のクオリティの高さが、次第にバイカーたちの間で評判を呼ぶようになっていく。そして、レザーウエアのおまけ程度だったシルバー製品が、いつしかそれ単体で評価されるようになり、ついに単独商品としてシルバーアクセサリーが販売されることになったというわけだ。
その後もクロムハーツの勢いはとどまることを知らず、1992年にはCFDA(アメリカ・ファッション・デザイナーズ協会)のアクセサリー部門において最優秀賞を受賞する。当時、アクセサリー部門で最優秀賞を受賞したのは、シルバーを素材にしたアクセサリーとしては史上初のことであった。
その受賞を皮切りに、アメリカのセレブ層を中心に一気に人気が爆発していく。1999年には、クロムハーツ直営店である『CHROME HEARTS TOKYO』が青山にオープンする形で、日本へと正式に上陸し、瞬く間に日本での知名度を確立することに成功したのであった。
なぜクロムハーツの値段は高いのか?
正直な話、クロムハーツの製品は、他のブランドと比較しても飛び抜けて値段が高いと感じる。
そもそもシルバーアクセというのは、原材料自体はそこまで高くないものである。シルバーアクセに使われる「銀」は貴金属の一つであるが、貴金属とは言っても、「金」や「プラチナ」に比べると原材料なんてたかが知れている。
これはあまり大きな声では言えないのだが、銀の原価は「1グラム当たり50円前後」と言われているのが実際のところなのである。
ところが、例えば以下のクロムハーツのアイテムを見てもらいたい。
これはクロムハーツの定番アイテムの一つでもある「ベビーファットチャーム」というペンダントだが、重さは2グラムほど。単純に銀の原価を考えると、「原材料」としてのコストは、せいぜい100円前後ということになってしまう。
しかし、このベビーファットチャームを私が買った時は、確か5万円ほどの価格だったと記憶している。原材料が先ほどの価格に対して、売値は5万円ほど。
もちろん、これをどう捉えるかは、その人次第だとは思うが、原材料だけを見てしまうと、やはりクロムハーツは高価なブランドだと感じる人も多いかもしれない。しかし、それでもクロムハーツは飛ぶように売れており、熱狂的なファンを世界中にたくさん抱えている。
多くの人に愛され、認められているということは、その値段はそのアイテムに見合った妥当なものだということである。値段とアイテムが見合わないのであれば、ここまで多くの人に支持されることもないだろう。そうなると、クロムハーツは確かに値段だけを見れば高いが、それに見合うだけの何かしらの価値が、アイテムに宿っているということだ。
では、その価値とは一体、何なのだろうか?
何に価値を感じるかも人それぞれだと思うが、やはり筆頭に挙げられるのは「クオリティーへの信頼」だと思う。もともとクロムハーツは、モノ作りに対して非常に強いこだわりを持ったブランドである。
「良質な素材が見つかるまで製作しない」
これが彼らの持つこだわりなのだ。だからこそ、最高のクオリティが保たれ、それがブランド価値を押し上げ、今のような圧倒的な地位を築くことに成功している。
そんなこだわりを持ったブランドだから、当然、クオリティーもお墨付きだ。クロムハーツは、クオリティーへの絶対的な信頼を顧客から得ているからこそ、このような高価格でも多くの人に愛されているというわけだ。
まさにこれぞブランドビジネスであり、ブランドビジネスとして圧倒的な成功を収めている良い例である。
私自身、クロムハーツには相当なお金をつぎ込んだ。もちろん、私はシルバーアクセの原価にまつわる裏側なども、おおよそは知っているつもりだ。それを知りながら、クロムハーツのアイテムにウン万円、ウン十万円の金額を支払っているわけであり、それは私がクロムハーツのブランド価値を認めているからに他ならない。
「偉大」。
そんな言葉がこれほど似合うシルバーブランドは他に存在しないと思う。それくらい圧倒的なブランド価値を持ち、多くの人々を虜にしているのがクロムハーツというブランドだからだ。
そんな、クロムハーツの人気の裏側を今日は書いてみた。以上である。
-ユキヒデ-
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